ザ・プレミアムバックステージでインストラクターを務めています藤井誠です。
前回から我々がレッスンをしていくうえで大切なイロハを皆様にお伝えしていますが、今回から 2 回にわたり、グリップについてお話しします。
1 回目は左のグリップです。(右利きの方の場合。
左グリップは身体とクラブの接続点
クラブと身体をつなげてくれる役目のグリップは、非常に重要なパーツになります。
両手がバランスよく協力し合い、ひとつの形になって働かなければいけません。
そのためには、まず左手のグリップから考えていく必要があります。
身体の近くにあり、右手グリップと違って、左手グリップはすべての指、掌(てのひら)がグリップ自体に密着するようになっています。
まさしく左グリップが身体とクラブの接続点なのです。
理想のスイングとは
ゴルフのクラブは、シャフトを鞭(むち)のごとく使うことでその性能を発揮する設計になっています。
スイングは身体を中心とした回転運動で、回転運動の最終連動がクラブヘッドの動きとなります。
足元、下半身、腰、上半身と下から上への運動連鎖が体幹の回転パワーを増幅させ、そこにつながった肩、腕、そして両手を介してグリップ、シャフト、クラブヘッドへと内から外に向かってパワーが放出されるイメージです。
その間、身体の各パーツで起こる“反動(連鎖)”をうまく利用することで回転エネルギー(スピードとパワー)を増していくのが理想のスイングです。
時間差でスイングの波を作る
反動(連鎖)でエネルギーを増幅させるポイントが、時間差です。
足より腰、腰より胸、胸より肩、肩より腕、腕よりグリップと、わずかな時間差でエネルギーが伝達されることでパワーが増していくのです。
この時間差こそ、“ため”や“しなり”だと理解してください。反動(連鎖)によって増幅されるパワーは波のようなイメージです。
ドラゴンボールの悟空が放つかめはめ波の“波”です。反動の波が正しくグリップを伝わるとシャフトに“しなり”として現れます。
この“しなり”こそ、ボールを遠くに飛ばすために必要な動きなのです。
スイングの波を伝える左グリップ
スイングの波を伝え、ヘッドが正しい軌道に乗るには、左グリップを正しく握る必要があります。
ポイントは以下の4つになります。
・小指球
・指の握り方
・クラブが立つとは
・親指
それぞれ解説していきます。
掌(てのひら)の小指球でバランスを
ここで、最も重要な働きを任されるのが左手のグリップです。
左グリップが正しく機能するために、まず始めに波が伝わりやすくなるような仕掛けを作ります。
掌の小指のちょうど下あたりにある小指球という膨らみをうまく利用し、人差し指に引っ掛けることでバランスを取ることができます。
少しでも右や左に回転すると膨らみから外れてクラブは落ちてしまいます。
このバランスが取れた状態こそ、身体の芯で生まれた波の基が外に伝わっていき、グリップを通してシャフトに波動を伝えることができる形になります。
3 本の指と親指
次に小指、薬指、中指の 3 本がひとつのグループとしてグリップに絡みつきます。最後に親指がセット(あとで説明)されます。
この3本はぎゅっと力任せに握ることはなく、指先の関節にある程度角度をつけた状態で隙間が無くなるようにしておけばいいのです。
グリップ自体が根元にいくに従い太くなっていくのはスイング中の遠心力でヘッドが身体の中心から外に動くことに対し、クラブが抜けないようにするためです。または身体の中心にクラブを引っ張りやすくするためでもあります。
いいスイングの成否=クラブが立つ状態とは
スイング中には、クラブヘッドが天を向く、いわゆる“クラブが立つ”状態が2回現れます。
テークバックの途中とフォロースルーの後半です。積極的に立たせるということではなく、ヘッドが動く反動で「立ち上がる」という言い方が合っていると思います。
このシャフトが垂直に立つ状態をちょっとした反動でサッとできるかどうかがいいスイングを作れるか否かに関わります。
左手親指の根元、手首の近くに掌を大きく開いたときに見える凹みがあります。
グリップをしたときにこの凹みの位置が自分から見たときにグリップの真ん中よりもほんの少しだけ右にあるべきです。
その位置にセットするだけでスイング動作が始まるとすぐに、反動で自然にシャフトを立たせることができます。
正しいスイング軌道に乗せる親指の役割
親指は指先でグリップにプレッシャーをかけることがないように気をつけます。第一関節のところにある骨を優しくグリップにあてがうようにしてください。
また、真ん中よりも少しだけ右(自分から見て)からグリップの径の中心部に向けて置いてください。
親指でクラブの重みを感じる
最初にそのようにセットする理由はトップに到達したときにクラブが完璧にこの親指の真上に乗っかるようにするためです。トップではクラブの重みを親指が感じられることになります。
切り返しのあと、ダウンスイングが始まりますが、その際クラブヘッドが正しい軌道に乗るように親指がガイドの役割をします。
実は左手のグリップが完成すればスイングして、ある程度のスピードをつけてボールを打つことは可能です。
それくらい左手のグリップがほとんどすべての役割を担っているということが言えます。
そしてとても重要であるということを覚えていただきたいのです。
次回は右手のグリップを考えてみたいと思いますが、右手はあくまで左手グリップが先に存在してこそサポート役として能力を思い切り発揮することができるのです。
▼ぜひYouTube動画を参考にしてください。
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